2015年4月16日木曜日

女3

「大人になったら女のことが分かるようになるって思っていたけど、いざ30代の半ばを過ぎても、女の人のことってぜんぜん分からないんです。なんかそう考えると怖いですよね。私は結婚をしていて、本心では共感のできない女と10数年一緒に住み、今では10歳になる娘もいます。でもその娘でさえ、最近は女の世界が始まっているんですよ。娘は男である私を女の世界に入らせてくれないんです。拒否するんですよ。それが、凄く寂しく、怖いんです」

「結局のところ、男は女に対して共感できないんじゃないかな。いくら”愛”とか言っても、本当のところは分かり合えない。種類が違いすぎるんだよ。男と女より、男と犬の方がまだ分かり合える。何匹かの犬を飼い、何人もの女と付き合ってきたのでそう感じるよ。これは生物としての宿命なんじゃないかな。ところで、この子が最近気になるんだよね。渕上彩夏ちゃんっていうグラドルなんだけどさ。笑顔がいいんだよ。顔の好みだけで言うと僕のストライクではないんだけど、なんとなく誰かに似ているんだよね。それが誰だか分からないんだけど、僕の心を掴むんだよ」


「私のイメージなんですが、あなたのの元カノさんに似ていませんか? 昔からあなたはひとつのヴィジョンを探し続けてる感じがあるのではと思っていました。 スティーブンキングは子供の頃、友人が目の前で電車に轢かれて死んだのを目の前で見ていたはずなのですが、記憶に無いそうです。でも、さまざまな映画で子供が轢かれるような描写が描いているんですよ。 あなたにも、そういったペットセメタリーがあるのではと、推察しています」

「そうかな?元カノに似ているだけなら、左の音市美音ちゃんや、右の藤沢マリちゃんの方が似ているよ。二人ともAV女優なんだけどさ、彼女たちの作品を見ると、喪失感や儚い嫉妬心が生まれ、それが性欲に転嫁されて何処となくヌけるんだ。上にあげた渕上ちゃんは、過去の女性の誰とも似ていないんだけど……、でも表情やしぐさはたしかに似ているかもしれない。そういうものがフックとなって、僕に引っ掛かっているのかもね」


「例えば僕が、中学生の頃に宮沢賢治を好きだったとしたら、口説ける文学少女がいて中学で童貞を卒業できたかもしれない。でも実際には僕は北斗のケンやグラップラー刃牙が好きだったし、女とセックスするのはワルの特権だったんだ。これで性交渉の機会を逃してしまったんだよね。二度目の人生があるなら同じ轍は踏まないけど、一度目で宮沢賢治で共感するなんて無理な話だ。だからね、今は村上春樹にドッキリを仕掛けたいんだよ。やれやれとか言ってセックスしている村上春樹もね、朝起きてホテルの窓を開けたときにゴジラがガオーって現れたら、やれやれとか言えないと思うんだよ。日本は国家プロジェクトとして200兆円ぐらいかかっても実物大の動くゴジラを作って、村上春樹にドッキリを仕掛けるべきだと思うんだ。爽快だろ?」

「それって村上春樹への嫉妬ですよね。村上春樹のように、美人というだけではない味と個性のある女とセックスできないという。あなたって、けっこうセックスはしているじゃないですか。でも、ビッチだったり薄っぺらいメンヘル女だったり。そこに劣等感を感じているのですよね?」

「もういい、おれ、宝くじ買うわ。100回連続で当てて、ゴジラ作るから!作るからーーーーっっ!!!」



庵野&樋口の東宝ゴジラへの期待を込めて……。
あ、俺は懐古主義者ではないので、ハリウッドのギャレスGODZILLAにも期待してますよ。
できれば、GODZILLAvsパシフィックリムとか、宇宙人が攻めてきて地球防衛軍が壊滅して、オワタ―ってところに
GODZILLAが出てきて、宇宙人をぶっ倒すようなカタルシス満載映画が好きです。

2015年4月10日金曜日

奇譚

 
 少し前の話だが、京都で講演をさせてもらった。京都までの新幹線で、村上春樹の「東京奇譚集」(H17,新潮社)という文庫本を読んでいた。5つの短編から成る小説だ。「奇譚」というのはgoo辞書によると「珍しい話。不思議な物語」だそうだ。タイトルの通り、5つの短編はそれぞれちょっとした偶然とか、珍しいことをテーマに書かれている。その中のひとつ、「日々移動する腎臓のかたちをした石」を読み終えたあと、僕の身にもちょっと不思議なことが起こった。小説のあらすじはこんな感じだ。


 男が一生に出会う中で、本当に意味を持つ女は三人しかいない」 31歳の小説家・淳平は、知人のフレンチ・レストランの開店パーティーで、キリエという不思議な女性と出会う。「私の仕事はなんだと思う?」というキリエに、淳平は想像力を働かせたが、当てることはできなかった。淳平は新たな短編小説を書き始め、2人で小説の話をした。キリエはそれを喜んだ。淳平の小説が完成したとき、キリエは姿を消した。淳平は喪失感につつまれ、キリエが本当に意味のある女のうちの2人目であったのではないかと考える。淳平は小説は新聞広告に乗ることで、キリエが連絡してくるのではないかとおもったが、連絡はなかった。いくらか月日がたったあと、淳平は、乗っていたタクシーのラジオから流れるキリエの声を聞いた。ラジオの先でインタビューを受けているキリエは、窓ふき屋を営み、高層ビルで綱渡りをしていた。



 "高い場所に出ると、そこにいるのはただ私と風だけです。他には何もありません”(キリエ、p17)

 "風と彼女とのあいだには、誰も入ることができないのだと彼は悟った。そこで彼が感じたのは、激しい嫉妬の感情だった。でもいったい何に嫉妬をしているのだろう? 風に? いったい誰が風に嫉妬を覚えたりするのだろう?p177~178


 淳平の激しい嫉妬の矛先はどこなのだろうか。それは風でもなく、風とキリエとの孤高の関係でもない。ここには淳平の同じ表現者としての嫉妬がみえる。淳平は自分の短編小説が新聞広告に載ったことで、キリエが戻ってくるのではないかと期待していた。しかし、いつまで待ってもキリエからの連絡はなく、キリエが現れたのはラジオの先で、キリエは淳平の及ばない世界にいた。
 淳平はキリエの職業を、「デザイナー」や「建築家」といった聡明で洒落たキリエにいかにも当てはまりそうなものだと推測していた。それまでに書かれてきたキリエという女性像はそれであり、ブランコ師という仕事は、淳平にとっても読者にとっても、想像の外にあったものではないだろうか。そしてキリエは、高層ビルの谷間で綱渡りをし、普通では共感が及ばないほどの気高い思想に生きていた。
 「風と彼女とのあいだには、誰も入ることができないのだと彼は悟った」と三人称で書かれているが、これは淳平の嘘なのではないだろうか。これは淳平が、淳平と淳平の小説のあいだにキリエが帰ってくる程の作品を作ることができなかったことへの言い訳だったのだ。
 淳平の激しい嫉妬とは、想像の及ばないところにいたキリエへの嫉妬と、キリエを自分の作品で嫉妬させられなかったことへの怒りなのだ。
 
と、いうような感想を持ったあたりで、新幹線が京都駅に止まった。新幹線から降りて、駅構内をオロオロしながらバスの発着所を探し、見つけて、バスが来るのを3分ぐらい待ってたところで音楽作家をしている友人からのメールに気付いた。

「高校時代の同級生で、めちゃ普通だった女の子が、ブランコで有名になってていて、ビビりました」

 ブランコで有名ということが、ブランコ師としてなのか、体操的なブランコなのかよく分からなかったが、このタイミングで凄い偶然だと思った。これぞ、まさに奇譚じゃないか。スマートフォンを指でなぞり、メールに添えられたURLを押し、動画を見た。
 画面には、「ブランコ」ではなく「フラメンコ」を踊っている女性が映っていた。メールをよく読み返すと、フラメンコとちゃんと書いてある。小説と混同して読み間違えていたのだ。ちなみに、ブランコ師という表現は小説内では使われておらず、窓ふきのアルバイトとしか表現されていない。本を読み進めているうちに、頭の中で窓ふきがブランコ師に変換され、その状態で友人からのフラメンコのメールを読み、間違え、驚いてしまったのだ。 
 その音楽作家の友人に電話をし、フラメンコ女性の同級生に嫉妬したかを聞いた。「そりゃちょっとは嫉妬しますねぇ」ということだった。僕は「やっぱそうだよね、俺もそう」と共感し、男ってどうしようもねぇなぁ。と、思ったのであった。
 これ、読み間違いを抜きにしても、ちょっとは不思議じゃない?


 ところでそんな音楽作家をしている友人と、また久々にセクシー登山部の新作動画を作ろうということになった。こんどは短編映画を予定している。きっちりとストーリーのある話を作るとなると、中学1年生のときにVHSカメラで撮った「ビッグフットvsターミネーター」以来になる。いろいろ忙しいが、楽しみだ。
 

なめたろう



・次の「ババ泣き」に向けて、前の「ババ泣き」を復習しましょう。
 2013年セクシー登山部「ANIMALPLANET」







・以下、セクシー登山部や舐め太郎とは一切、関係ないですよ。ということを予め断ったうえで、友人で音楽作家の荒木氏が関わっているイベントの告知です。これまた、オシャンティーな動画です。






Published on 6 Apr 2015
個性派バンド・レミ街が住んでる街=名古屋と一緒に作る初の公共企画。

Video by 新美良太郎

『 the Dance we do 』
レミ街ファンタスティック・コンサート
2015年4月18日(土)中村文化小劇場
【出演】
レミ街
中村区の中学生コーラス隊
ダンススタジオAMS

チケット受付 16時15分
開場 16時30分/開演 17時00分(18時30分終了予定)


レミ街 × 中村区中学生合唱隊 × AMS「the Dance we do」2015.04.18@中村文化小劇場